登記費用は創立費、販売前の準備は開業費。この2つに分ければ、設立前後のお金はほとんど整理できます。
こういう悩みを持つ方に向けて書きます。
- 設立前後に払ったお金を、経費にしていいのかわからない
- 開業費と創立費の違いが、調べてもはっきりしない
- 会計ソフトにどう入力するのか、手順がわからない
2026年3月に合同会社を設立した代表が、①開業費と創立費の違い、②実際に計上したもの一覧、③弥生会計 Nextでの処理の流れを、実際にやったことだけ書きます。
先にお断りしておくと、どの費用をどの科目に入れるかの最終的な判断は税理士に確認しながら進めています。この記事は専門家の解説ではなく、1期目の経営者が実際にこうした体験談として読んでください。経理全体の流れは、まとめ記事「合同会社1期目の経理のやり方|実際にやっていること全部」に書いています。
開業費・創立費とは?違いを一言で
一言でいうと、「設立登記そのものにかかった費用」が創立費、「設立後から販売を始めるまでの準備にかかった費用」が開業費です。どちらも「繰延資産(くりのべしさん)」という特別な扱いになります。繰延資産とは、支払いは済んでいるのにすぐには全額費用にしないで、後からゆっくり費用化できるお金のことです。
判断の入り口はシンプルで、「その支出は、会社を作るためのものか(=創立費)、それとも商売を始めるための準備か(=開業費)か」で分けます。私の場合、登録免許税や法人印鑑は「会社を作るため」だったので創立費、ドメインやサーバーは「商売を始めるための準備」だったので開業費に入れました。迷ったものは税理士に確認しました。
創立費に入れたもの(設立登記に直接関連する費用)
私が創立費として計上したのは、大きく4種類です。
- 登録免許税(とうろくめんきょぜい)。合同会社(ごうどうがいしゃ)を設立するときに法務局へ納める税金です。合同会社の場合は「資本金の0.7%、最低6万円」という法定額(法律で決まった金額)があり、私の場合は6万円の収入印紙を購入して登記申請時に貼付しました
- 法人印鑑3本セット。法人を作るには、代表者印(実印)・銀行印・角印の3本が必要です。Amazonのマーケットプレイスで購入しました
- 各種証明書の発行手数料。口座開設や税務署への届出などで、印鑑登録証明書・履歴事項全部証明書(法人の登記情報が書かれた書類)を何通か取得しました。法務局や市役所の窓口で手数料を支払う形です
- プリント代・コピー代。書類を準備するためにコンビニのマルチコピー機を使った際の費用です。1回数十〜数百円の少額ですが、設立登記関連と確認できたものは創立費にまとめました
証明書の取得には法務局や市役所に足を運ぶことになり、交通費も発生しました。これも用途が設立登記関連と確認できたものは創立費に入れています(交通費の計上は、バスの場合は領収書が出ないので区間と往復を摘要欄に書いて記録する形にしました)。
開業費に入れたもの(設立後〜販売開始前の準備費用)
設立後、販売を始める前にも準備のための支出がありました。これらは開業費として計上しています。
- 梱包資材(こんぽうしざい)。FBA(Amazonが商品を保管・発送してくれるサービス)で出品するために必要な梱包用のOPP袋(透明な袋)やテープを購入しました。販売を始める前の購入だったため、開業費に入れています
- ドメイン取得費。会社のホームページのアドレス(yu-noah.com)を取得する費用です。取得時はキャンペーン適用で象徴的な金額でしたが、記録として計上しています
- レンタルサーバー代(1年分)。ホームページを公開するためのサーバーを契約しました。1年分をまとめて支払う形で、金額は数万円でした。販売開始前の支出として開業費に入れています
- 各種証明書の発行手数料。設立後に納税証明書などを取得しました。融資の申請準備として取得したもので、設立登記とは別の目的だったため開業費に分類しています(ただし代表個人の証明書を法人経費として計上してよいかは、税理士に確認中です)
サーバー代は実際の支払いが法人口座からの振込でした。計上日は「請求書の発行日」ではなく「実際の振込日」にしました。この取り扱いは税理士に確認する事項として記録しています。
開業費・創立費にできない費用に注意
実際にやってみて、「これは開業費や創立費に入らないんだ」と気づいたものもあります。
- 資本金の払込は費用ではありません。私の会社の資本金は10万円で、法人口座が開設できた後に入金しました。これは「会社の元手(もとで)」であって費用ではないため、「資本金」という科目に計上します。開業費や創立費に入れる必要はありません
- 商工会費・加入金は「諸会費(しょかいひ)」という別の科目へ。設立後に東久留米市商工会に入会し、入会費と会費を合わせて支払いました。これは開業費でも創立費でもなく、「諸会費」という科目で一括費用化するのが一般的と聞いています。最終的な扱いは税理士に確認中です
- 販売開始後の経費は通常の科目で処理します。たとえばサブスク(毎月定額のサービス)を販売開始後も継続して使っている場合、販売開始後に発生した分は開業費ではなく通常の「通信費」や「消耗品費」として処理します
「これは開業費に入れていいのか、それとも通常の経費なのか」と迷ったときは、「販売を始める前にかかった準備費用か、それとも販売開始後も継続してかかる経費か」という軸で考えると整理しやすかったです。最終的には全部税理士に確認しました。
会計ソフトでの処理|繰延資産と任意償却(税理士確認の枠)
開業費と創立費は、支払ったその瞬間にすべて費用になるわけではなく、「繰延資産(くりのべしさん)」として会社の資産のリストに載せるという少し特殊な処理をします。
弥生会計 Nextでは、「創立費」「開業費」という勘定科目(かんじょうかもく=帳簿上の分類名)がそのまま使えます。仕訳(しわけ=帳簿への記入)のときに、借方(左側)に「創立費」または「開業費」、貸方(右側)に支払った方法(立替金や普通預金など)を入れます。弥生会計 Nextの記帳の進め方は、「弥生会計 Nextで法人1期目の記帳を回している実録レビュー」に書きました。
繰延資産のポイントは「任意償却(にんいしょうきゃく)」が認められている点です。任意償却とは、「どのタイミングでいくら費用化するかを自分で選べる」という制度です。たとえば黒字の年に一括で費用化することも、毎期少しずつに分けることもできます。ただし、いつ・いくら償却するかは税理士と一緒に決めることを強くおすすめします。私もここは自己判断せず、決算のタイミングで税理士に指示を仰ぐ予定です。
なお、開業費・創立費として計上したものの領収書や証憑は、弥生証憑 Nextで電子保存しています。書類の保存方法の実録は「弥生証憑 Nextの使い方|電子帳簿保存法対応の実録」で書きました。
まとめ:設立前後のお金は、創立費か開業費に集める
「設立前後に払ったお金をどこに入れればいいのか」——最初は迷いました。「登記関連は創立費、販売前の準備は開業費」という軸が判断基準です。だいたいのものが分類できました。ただし商工会費のように、どちらにも入らない費用もあります。迷ったものは全部メモしておいて、税理士に一度確認するのが安全です。
どちらの科目も「繰延資産として計上→任意のタイミングで費用化(償却)」という流れは共通です。設立1期目の段階では、まず「計上する」ことを優先します。「いつ償却するか」は決算前に税理士と一緒に決めるのが実態に即した方法です。
経理全体の流れや、どんな書類を保管しているかは、まとめ記事「合同会社1期目の経理のやり方|実際にやっていること全部」で書いています。会計ソフトの記帳の進め方は「弥生会計 Nextで法人1期目の記帳を回している実録レビュー」に、証憑の保存は「弥生証憑 Nextの使い方」に書きました。あわせて読んでください。
なお、この記事は実際の運用の体験談で、税務の正式な助言ではありません。自分の会社でどの費用をどの科目に入れるかは、最終的には税理士に確認して判断してください。